ここでは、医ゼミで行われる企画について教えちゃう!!
いくつか中心の企画があるので、ここで紹介します。
医ゼミには、大きく分けて3つの企画があります。それは、
の3つです。それぞれについて説明をします。
全体企画

全体企画とは、文字通り参加者全員が同じ内容の企画を受けるものです。
医ゼミには、毎年企画の中心になるテーマを1つ決めています。例えば、前回のテーマは、「いのちを見つめ直す~人間観と倫理観の探究の中で」でした。
このテーマに沿った企画を行うのが全体企画です。
全体企画にはいくつかの種類があります。「メイン企画」「全国企画」「記念講演」「特別講演」「文化人講演」などいろいろな種類がありますが、大きな会場で講師の講演を聞いたり、学生の発表を聞いたりするという形式です。
ここでは、2002年に鳥取で開催された第45回医ゼミを例に取って説明します。
メイン企画
メインテーマ「いのちを見つめ直す~人間観と倫理観の探究の中で」に基づいて作られたメイン企画では、まず第一部で「いのち」をどう捉えるのかについてみていきました。一つは、「人権を持った社会的存在」としての「いのち」が国際的な認識として発展・存在することを共通認識として捉えました。つまり、「いのち」は何より侵しがたく、人間らしく生きられるための尊厳をもち、だからこそ「生命」を包括するものであるということです。もう一つは生と死という側面において社会的な合意が一つの線引きをしていることを解明しました。そして、そこから「いのち」を支える医学・医療の原点について考えていきました。
この部のシンポジウムは前半と後半の二部に分けて行われました。
前半は、
額田勲氏(神戸みどり病院院長)
藤崎和彦氏(岐阜大学医学教育開発センター助教授)
をお招きし、「いのち」を二つの側面から深めました。
後半は、
藤田安一氏(鳥取大学教育地域科学部教授)
谷三一氏(薬害ヤコブ病裁判原告団団長)
をお招きし、医療制度改革と薬害を題材にとりあげて経済性優先社会における医学・医療の現状について深めました。
また、鳥取医ゼミの企画の特徴のひとつでもあったメインディスカッションでは、「折角の企画、やりっぱなしで終わりたくない」と参加者それぞれが意見を交流しあう場として小さな班に分かれての班別ディスカッションを行いました。これにより、「いのち」という、いわば漠然としたテーマについて皆が納得するまで活発に議論しあいました。
全国企画
今年の医ゼミでは、軽視されるいのちの現状をメイン企画の他に、「現代社会といのち」と「生命科学といのち」の2つの全国企画で多面的に実証しました。
全国企画①「現代社会といのち」
ここでは、国境なき医師団で医師として活躍中の貫戸朋子先生をお迎えして、国境なき医師団の医療活動と医師としての経験をお話しいただきました。講演では手話をつけるという初めての試みにより、さらに広い門戸を開くことが出来ました。また、学生レポートでは私たちのめざす医療を貫くためには平和な社会を築いていく力に自分自身がなることが必要であると提起しました。
全国企画②「生命科学といのち」
ここでは、大阪大学微生物病研究所教授の仲野徹氏をお迎えして、先端医療についての分かりやすい説明と、その倫理問題をどのように考えていけば良いのかについてお話しいただきました。また、学生レポートではそのために必要なのは技術を身につけるための実践であると提起しました。ここでの技術は情報収集、それを自分の中で吟味し、他と共有する力のことです。この企画では、学生といういわば素人に近い立場でもここまでのディスカッションが出来るという自信を私たちに伝えてくれました。
分科会

「分科会こそが医ゼミの顔!」と呼ばれる、それが分科会です。
分科会は、各地域にある「医ゼミに参加する会・サークル」が準備・用意した内容を、自分たちの手でプレゼンテーションする企画です。用意するのも学生、発表するのも学生、聞くのも学生という企画です。
数が多いので、分科会だけで6ターム(1ターム90~120分)の時間を作り、同じ時間にいくつかの分科会を同時に行います。参加学生は、自分の聞きたい内容の所に別れて聞きに行きます。これが、分科会と呼ばれる理由です。
この分科会のために、各地の医ゼミに参加する会は数ヶ月前から準備をします。ただ参加するのと、自分で企画を出すのでは、医ゼミに対する思い入れが変わります。分科会に参加する楽しみ、そして、分科会を作る楽しみ。医ゼミにはいろんな楽しみがあります。
昨年の鳥取医ゼミでは、分科会は全国から昨年より増えて43個集まり、多彩なテーマで行われました。各地域が複数の分科会を用意したり、分科会を初めて出展した学生が多かったです。作ってきた学生は「自分たち自身がよく学べてよかった」「来年はもっといい分科会を出したい」「はじめての分科会だったけど、たくさんの人が来てくれて、いろいろな意見を吸収できた。自分が準備した分科会がいろんな側面からもっといいものにたたき上げられた感じです」と分科会を通じて自主的に学んでいくことの魅力を確信しました。今回は参加しただけの人たちも来年は自分も分科会持っていきたいと熱意を燃やしています。
鳥取医ゼミでの分科会紹介
- 障害者医療 準看問題
- メディカルインタビュー 心の風邪の処方箋
- 車椅子体験企画:車椅子の視点からバリアフリーを考える グループダイナミクス~SGDのルールと効力を知る
- 自治会交流 不妊と育児
- 新しい介護支援の可能性 今、注目を集める卒後研修を考える
- 医学教育学入門 代理出産
- MSFの基礎講座 STOP薬害・ヤコブ
- 社会と医学の関係って? 人として生きること~ハンセン病から考える
- 有事法制 尊厳死
- 会話で変わる人間関係 看護学生会の活動について
- がんから再生医療へ 着けた方が気持ちイイ!目からウロコのコンドーム講座
- 小児の臓器移植 ハンセン病
- 自主ゼミ論 地域保健師の活動について
- 私たちの医療 出生前診断
- 大切なものはなに?~リハ・医療の現場からQOLを考える 子供の医療
- 肩こり ハンセン病について
- 幼児虐待 遠隔地医療
- 平和 カウンセリング体験
- 女子医学生 ノーマライゼーション
- 性同一性障害 医学教育
- PTSD その影に… 塵肺~それは高度経済成長の中で生まれた歪み
交流会

まじめな学習会がたくさんある医ゼミですが、全国にいる医療を学ぶ学生との交流の場もきちんと用意されています。それが、毎晩行われる交流会です。
昨年の鳥取医ゼミでは、1日目トーク&トーク(くじ引き班別、お弁当)、2日目学年別交流会(上中下級生3つ)、3日目ビアパーティー(Tシャツコンテスト、寄せ書き)が行われました。それぞれ大いに盛り上がり、全国の仲間と交流しました。
夏の本番直前の全国準備期間
(略して、「全準」って言います。集まる学生のことを「全準参加者」と言います。)
夏休み中に開催される医ゼミ本番は4日間ですが、その直前の準備のために、毎年100人を超える学生が医ゼミが開催される「現地」に、さながら合宿のように住み込みをしながら医ゼミ本番直前の準備をします。早い人なら当日が始まる2週間も前から現地に乗り込みます。(※全準参加者の宿泊費は例年、何泊しても1万円です。)
当日の企画の内容を考えたり、配布資料を印刷したり、参加者が道に迷わないように看板を作ったり、と様々な仕事を学生自身がみんなで分担して作業します。文化祭のようにみんなで準備していく過程は普段の大学生活ではなかなか経験できない充実感があると参加者に好評です。
また、もちろん、学習ゼミナール活動なので、この全準期間中にも、その年のテーマを学ぶために、講師を呼んで学習会を行ったり、学生同士でディスカッションをしたりします。この濃密な学習により、当日の医ゼミがより深く学ぶことができることでしょう。
テーマ議論とは、これまで現地実行委員会や全国準備委員会で議論されて来たメインテーマについて、全準参加者の中でさらに深めて具体的なものにしていきます。当日の全体企画はどんなものにするかなどの議論をして、その議論の到達点を学生レポートという形で仕上げて本番で発表します。
議論の最終確認をするために、全準期間終了間際(つまり本番直前)に、第4回全国準備委員会が行われます。
つまり、全準期間は実務と学習の絶妙なバランスで運営されます。もちろん夜には交流会があるので、参加者は仲間として一緒に頑張ります。
全準の最後には、当日の仕事振り分けをします。当日も学生だけで運営するので、各人が仕事をもつのです。自分たちで全てやる、それが医ゼミの魅力の一つです。